江蘇泗洪の洪沢湖湿地国家級自然保護区は1985年7月1日に建てられて、泗洪県の東南、洪沢湖の西北部に位置しています。南温帯と北亜熱帯の過渡地帯に位置しています。一部の湖面、灘とリツ河窪を含みます。湿地のタイプは主に浅水湖湿地、浅瀬沼湿地、河川湿地などがあります。保護区の総面積は49365ヘクタールで、2006年2月11日に国務院に承認されて国家級自然保護区に昇進しました。

保護区はもとの楊毛嘴湿地を中心とした天然湿地生態系、湖畔の珍鳥類保護区、生態森林公園（レジャーリゾート区）、生物多様化科学普及区、万畝の水産養殖生態模範区と万畝の無公害稲蟹立体養殖模範区の六大功能区を組み合わせて構成されています。湿地生態系、ノガンなどの鳥類、魚の産卵場及び地質断面を主な保護対象とします。

1999年5月に県人民代表大会常務委員会は泗洪県の楊毛嘴生態湿地自然保護区を設立することを決定しました。

2001年11月13日、省政府は江蘇泗洪洪沢湖湿地省級自然保護区を設立することを承認しました。宿遷市政府は保護区管理委員会を設立し、管理処を設立しました。

2004年3月に県政府が「江蘇泗洪洪沢湖湿地省級自然保護区管理方法」を発表し、管理範囲を明確にしました。

2006年2月11日、国務院に承認されて国家級自然保護区になりました。

保護対象：内陸淡水湿地生態系、国家が重点的に保護する鳥類及びその他の野生動植物、魚の産卵場、下草湾標準地層断面などです。

保護対象の詳細は以下の通りです。

内陸湿地生態系

洪沢湖湿地はわが国の重要な内陸淡水湿地です。保護区内の湿地生態系と自然景観は完璧に保存されています。三つの大きな種類と8つの亜種類の湿地システムがあります。すなわち、沼湿地（草むら沼、イネ草沼、雑草沼）、川の草むら湿地（浮フェル型湿地、背水型湿地）と湖辺水生植物（浮水植物池、浮葉植物池、沈水植物池）の湿地があります。保護区内の淡水湿地の生態系の種類はこのように豊富で、集中していることは、我が国東部地区だけではなく、全国でもあまり見られません。

湿地生物の多様性

洪沢湖湿地所在地の植生区画は汎北極植物区で、中国-日本森林植物亜区-華北平原亜区に属します。保護区内には生物資源が豊富で、維管植物69科162属217種類があります。そのうち、調査によると、中国特有の植物4種類が記録されています。それぞれは杉（栽培種）、くろべ（栽培種）、烏菱と野生の菱です。保護区湖堤の陸生植生の喬木層は主に楊樹純林で、一面の杉林と池杉林、くろべ及び少量の黒楊林と極少量のポプラがあります。灌木層は主に梶の木、野薔薇などの落葉低木群落です。湿生植物群落は主に葦、菰、蓮を主とする背水植物群落、ふさも、マレーシアひるむしろ、輪葉くろも、苦草、ふさもなどを主とする沈水植物群落、オニバス実、菱などを主とする浮水植物群落があります。

洪沢湖湿地は揚子江中下流地域の大規模な平野型の浅水湖に属し、揚子江流域で典型的な代表性を持っています。洪沢湖の西岸には水草が茂っていて、餌が豊富で、渡り鳥が冬を越えて生息する理想的な場所です。鳥類は保護区で206種類まで記録されています。保護区は鳥類の異なる移動経路の交差点にあります。毎年9月下旬から翌年4月上旬にかけて、移動する渡り鳥は5～10日ごとに種類と群れを変えます。

洪沢湖は揚子江の淡水魚と水生生物の重要な繁殖地である同時に、揚子江の魚類の重要な回遊場所でもあります。湖の定住型の魚のコイ、フナ、ホウボウ、銀魚があるだけではなくて、湖の産卵、餌の回遊型の魚のアオウオ、草魚、鲢、鳙などがもあります。区内で発見された魚類は68種で、それぞれ7目11科に属しています。両生類は7種で、全部で4科6属です。そのうち、金線カエルと黒斑カエルは省級保護動物に属しています。爬虫類は14種で、2目8科に属しています。哺乳動物は15種で、5目6科に属しています。また、プランクトンは91種で、底生動物は76種があります。その中、洪沢の青エビ、克氏原キズはすでにブランドの基礎を形成しています。江蘇各地の水産養殖会社に野生の資源を提供しており、重要な保護価値を持っています。

絶滅危惧動物を大切にします

調査によると、毎年洪沢湖の湿地で越冬する水鳥の総数は50万羽以上で、その中の国家Ⅰ級保護動物の鳥類はノガン、東方のコウノトリ、黒コウノトリ、丹頂鶴、震旦カラスなどがいます。国家Ⅱ級保護鳥類は26種類です。小白鳥、オシドリ、黒耳鳶、はいたか、オオタカ、隼、紅隼、褐羽カラス、小カラス、草キョウ、短耳キョウ、普通キョウ、ハクチョウ、灰鶴、いぼ鼻白鳥、白尾凧、赤腹鷹などがあります。IUCNのレッドリストに入る脅威の鳥類は12種類あります。絶滅危機の6種類（黄口シラサギ、丹頂鶴、黒コウノトリ、震旦カラス、東方のコウノトリ、小青足シギ）、危惧動物になりやすい鳥類の3種類（ノガン、小白鳥、いぼ鼻白鳥）、近危険の3種類（オシドリ、褐羽カラス、小青足シギ）を含みます。

地層断面の化石

下草湾の標準地層断面の構造は完備していて、豊富な化石動物群を含んでいます。古い脊椎類に属する動物は70種類以上あります。そのうち3種類の霊長類の化石は双溝酔猿、江淮寛牙猿、江蘇古猿泗洪種と命名されました。専門家の研究を通じて、「下草湾新人」と確定しました。北京猿人の末裔で、現代中国人の祖先の一つです。そのため、下草湾標準地層断面、特に泗洪古猿化石と下草湾新人の発見は、人類の起源と地域分布の研究に新たな根拠を提供し、人類の地域環境の歴史変化を研究する重要な領域です。

水質安全及び地域生態安全

洪沢湖は南水の北調東線の面積が一番大きい湖です。その一方で、現地の生態環境保護を推進し、生態バランスを維持し、地域経済と環境の調和発展を促進します。一方で、湿地生態系の浄化作用を通じて、洪沢湖の水質を高め、南水北調の水質安全を保障することができます。同時に、洪水を調整して、外来の汚水を浄化する能力を持っています。湖の栄養バランスを維持し、富栄養化を防ぐ上で重要な役割を果たしています。また、洪沢湖湿地は地域の気候の調節と安定、地域内の洪水災害の軽減、地域の生態安全を維持する上で重要な役割を果たしており、地域経済の持続可能な発展を維持する重要な保証です。

生態学的価値

湿地には「地球の腎臓」という美称があり、高い科学価値、生態価値、社会価値と経済価値を有し、持続可能な発展を実現するための重要な基地です。その主要な役割は5つあります。一つ目は水体の浄化、二つ目は気候の調節、三つ目は洪水と干ばつの防止、四つ目は生物多様性の維持、五つ目は地域の生態バランスの保護です。また、洪沢湖湿地は南水北調工程の東線要衝地域に位置しています。この工程に優良な水質を提供することが重要な役割を果たしています。

洪沢湖は中国の五大淡水湖の中の第四の淡水湖で、江蘇省の最も重要な湖の湿地の一つで、面積は2152平方キロメートルです。その中の泗洪県の境界内の水域の面積は湖区の総面積の40%を占めて、我が国の東部の稀有で、保存完全な湿地の生態系です。その地理位置は独特で、機能も多様で、中国で極めて重要で代表的な内陸湿地です。洪沢湖湿地自然保護区は洪沢湖地域全体の中で湿地生態系の保存が最も完備している地域で、湿地の生態系のタイプが複雑で、生物多様性が豊富です。

洪沢湖湿地は国家I級の重点保護動物、ノガンなどの貴重な鳥の越冬生息地で、個体数は100匹以上のノガン集団が5回あります。また保護区内の豊富な湿地タイプは夏渡り鳥に優れた繁殖条件を提供しています。そのため、洪沢湖の保護区の鳥類の保護は、国内で重要な地位を持つだけではなくて、国際上でもある程度の名声を有します。

洪沢湖湿地は過水性湖に属し、天然湖と沖積平野の典型的な代表で、比較的天然な状態にあります。洪沢湖は揚子江の洪峰を調整して蓄えること、揚子江の中下流地域の洪水災害を軽減すること、地域の生態安全を維持し、生物多様性を保護することなどに対しては重要な意義を持っています。

保護措置

江蘇省、宿遷市及び泗洪県委員会、県政府は当地の湿地資源の保護をかなり重視しています。

2001年11月、省政府の承認で、泗洪洪沢湖湿地自然保護区を建設し、総面積は2.3万ヘクタールです。

2006年2月、国務院は江蘇泗洪洪沢湖湿地国家級自然保護区の建設を正式に承認しました。これは江蘇省第三の国家級自然保護区で、総面積は4.96万ヘクタールです。保護区の全体計画（2008～2020年）は環境保護部の承認を得て実施され、保護区のインフラ整備を主とする二期工事建設プロジェクトを成功的に申告しました。また、保護区は環境保護部に湿地保護と回復の建設プロジェクトを申告しました。

保護区は研究所を設立しました。南京大学、南京師範大学と共に二つの研究実験室を建設しました。すなわち南京大学湿地生態系分析実験室と南京師範大学湿地環境発展実験室です。湿地管理センターと湿地博物館を建てました。また、防火分離帯、動物救護ステーション、病虫害予防検疫ステーション、管理点及び警務ステーション、監察展望塔、管護埠頭、水文、水質監視点、常規気象観測ステーション、疫病発生観測点などを含む基礎施設を建設して、緩衝区移民配置と包囲網解体工事を実施し、水生植物2300ヘクタール、灘地湿生植物655ヘクタール、浜岸林草帯295ヘクタールを回復し、8000ヘクタールの保護をし、湿地資源の日常モニタリングを実施しました。鳥類、魚類と水生植物について重点として調査しました。